その絵は、癒しのために生まれた
クリニックに、モネの『睡蓮』を

『睡蓮 -緑の反映- 』 モネ
『睡蓮 -緑の反映- 』

待合室の絵画が、診療の質を決める

診察室の扉が開くまでの時間を、患者さまはどんな気持ちで過ごしているでしょうか。初めての受診なら、なおさら心は張りつめています。

心療内科や精神科、あるいは内科や婦人科。患者さまが不安を抱えて訪れるクリニックほど、待合室で過ごす時間の質が、その日の診療全体の印象を左右します。壁に何を掛けるかは、単なる内装の問題ではありません。診察が始まる前から患者さまを迎え、緊張をほどいていく——待合室の絵画は、いわば「言葉を使わない最初の問診」です。

そして、落ち着ける待合室の印象は、患者さまの安心感となって、通院の継続やご家族への紹介というかたちで医院に還ってきます。空間への投資が、そのまま診療体験への投資になるのです。

心を回復させる「注意回復理論」

「自然の風景を眺めると心が休まる」という実感には、環境心理学の裏付けがあります。注意回復理論(Attention Restoration Theory)と呼ばれる考え方で、自然の要素に触れられる環境が、緊張やストレスからの心理的な回復を促すことが、査読付きの研究で繰り返し報告されています。窓の外に緑が見えない空間でも、自然を描いた絵画がその役割の一端を担えることが示されているのです。

もちろん、絵画は治療そのものではありません。しかし「患者さまが回復に向かいやすい環境を整える」という観点で、待合室の絵画選びは、科学的な根拠を持つ空間づくりの一部だといえます。

医療空間の「ホスピタルアート」

医療空間に癒しの芸術を取り入れる試みは、「ホスピタルアート」「ヒーリング・アート」と呼ばれ、思いつきの飾り付けではなく、確立された実践分野です。日本では女子美術大学が1992年から病院へのアート導入に取り組み、首都圏を中心に30以上の病院・福祉施設で実践と研究を重ねてきました。近年は各地の大学病院や医療機関にも取り組みが広がり、医療とアートの協働は着実に定着しつつあります。

大学病院のような大規模施設だけの話ではありません。むしろ待合室の一枚から始められるのが、クリニックの強みです。

癒しのために描かれた『睡蓮』

数ある名画の中で、なぜ『睡蓮』なのか。それは、この絵が生まれた理由そのものにあります。

モネは1909年、批評家ロジェ・マルクスに構想を語っています。睡蓮の水面で部屋の壁を取り囲み、水平線も岸もない世界をつくる。そこは「働きに疲れた神経が、穏やかな水面を前にやすらぐ、瞑想の避難所」になるだろう、と。

第一次世界大戦を経て、モネはこの構想を実現した大装飾画を、平和の記念としてフランス国家に寄贈しました。それがパリ、オランジュリー美術館の「睡蓮の間」です。戦争に傷ついた人々の心を鎮めるために捧げられた、美術史でも稀有な成り立ちを持つ絵画——それがモネの『睡蓮』なのです。

そして『睡蓮 緑の反映』は、その「睡蓮の間」の壁を飾る壁画のひとつ。癒しのために構想され、癒しのために公開された、まさにその絵です。「自然の絵は心を休める」という一般論を超えて、この絵には待合室に掛けられるべき固有の必然があります。

『睡蓮 緑の反映』

『緑の反映』に、空はありません。岸もありません。画面いっぱいに広がるのは、柳の木々を深い緑に映す水面と、そこに浮かぶ睡蓮の花だけ。視線はどこにもせき止められず、ゆっくりと水の上をさまよいます。青緑を基調とした沈んだ色調は、華やかさで目を引くのではなく、見る人の呼吸を静かに整えていく——待合室という場所に、これほど適った画面構成はありません。

本作は、オランジュリー美術館の『睡蓮 緑の反映』(部分)を再現した高品質な複製画。程よい大きさの額サイズ(43×93cm)で、横長のゆったりとした画面が壁面に水平の広がりをつくり、待合室のソファ上部や受付の背面壁にも品よく収まります。重厚な金の額縁に収められた油彩の風格は、院長室や応接スペースの格も引き上げます。

日本人にこよなく愛されてきたモネの名画は、年齢を問わずどんな患者さまにも親しまれる、間違いのない一枚です。

クロード・モネ

1840年、パリ生まれ。光と色彩の変化を独自の筆致で描いた印象派を代表する画家です。「印象派」という言葉そのものが、モネの作品『印象・日の出』に由来しています。

晩年はフランス北部のジヴェルニーに居を構え、自ら設計した庭園の池に咲く睡蓮を描き続けました。その数、200点以上。なかでもパリのオランジュリー美術館に収蔵された大型の『睡蓮』は、楕円形の展示室を囲む圧倒的なスケールで、世界中から訪れる人々を魅了しています。

大塚巧藝社の巧藝画は職人の手彩色

巧藝画(こうげいが)は、美術印刷の上に、文化財の修復も手がける一流の絵師が、一枚一枚、原画同様の絵の具を手彩色しています。

いわゆる複製画というものは、印刷のみで製造。それに対し、大塚巧藝社の巧藝画は一枚一枚絵の具を手彩色。このような方法で作られている複製画は他にありません。

巧藝画は、日本画の巨匠、横山大観提唱、およそ100年の歴史があります。毎日その空間で過ごす方の目にこそ違いが分かる仕上がりは、長く掛け続ける医院の一枚にふさわしい品質です。

その一枚が、先生の姿勢を語る

待合室に癒しの絵画を掛けること。それは装飾ではなく、「診察の前の時間まで、患者さまの心に配慮したい」という先生の診療姿勢の表明です。言葉で語らずとも、その一枚が毎日、来院するすべての方に伝え続けます。

心療内科・精神科の待合室やカウンセリングルームに。不安を抱えた患者さまが多く訪れる内科・婦人科の待合スペースに。来客を静かな品格で迎えたい院長室・応接室に。

癒しのために生まれた絵を、癒しの場所へ。患者さまへの想いを、この絵で語ってください。

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